令和5年 事務年度の相続税の調査状況

令和5年事務年度における相続税の税務調査状況
本記事では、国税庁が公表した 令和5年事務年度(令和5年7月~令和6年6月)における相続税の税務調査状況 について、その概要と特徴を整理しています。
1)相続税の実地調査の件数
令和5年事務年度において、相続税に関する 実地調査(税務署職員が実際に行う調査) は、以下の件数で実施されています。
- 実地調査件数:8,556件
この件数は、前事務年度と比較して 増加傾向 にあります。
2)申告漏れ等が指摘された割合(非違率)
実地調査が行われた案件のうち、申告漏れなどの非違(誤り)があった割合 は非常に高い水準となっています。
- 非違件数:7,257件
- 非違率:約84.8%
これは、相続税の税務調査が行われた場合、その大半で何らかの申告誤りが指摘されている ことを示しています。
3)追徴税額の状況
申告漏れ等が指摘されたことにより課された税額(追徴税額)は、以下のとおりです。
- 申告漏れ課税価格:3,387億円
- 追徴税額:737億円
- 1件当たりの追徴税額:平均約861万円
相続税の調査では、1件当たりの追徴税額が高額になる傾向 が引き続き見られます。
4)申告漏れが多い財産の内訳
申告漏れとして指摘された財産の種類には、一定の傾向があります。
主な内訳(金額ベース)
- 現金・預貯金等
- 有価証券(株式等)
- 土地
特に、現金・預貯金等の申告漏れが最も多い状況 が続いています。
5)名義預金が調査で重視されている点
調査で多く指摘される内容として、名義預金の存在 が挙げられます。
- 口座名義は配偶者や子であっても
- 実質的に被相続人が管理・支配していたと判断される場合
これらは 被相続人の相続財産として認定される可能性がある ため、調査対象となりやすい項目です。
6)相続税調査が示す実務上の傾向
令和5年事務年度の調査結果から、次の点が読み取れます。
- 相続税の税務調査は 件数・指摘額ともに高水準
- 調査が行われた場合、高い確率で申告誤りが指摘されている
- 特に 預貯金・名義財産・有価証券 が重点的に確認されている
まとめ
- 相続税の税務調査は 依然として厳格に実施されている
- 調査対象となった場合、多額の追徴税が発生するケースが少なくない
- 申告時点での 正確な財産把握と適正な評価 が重要であることが、統計上も明らかになっている
この記事は2025年3月に書かれたものです。
内容が最新の情報と異なる可能性がありますのでご注意下さい。

相続税・贈与税・遺言・遺産整理・不動産など、相続に関することは横浜相続なんでも相談所にお気軽にお問い合わせください。
相談無料 ☎ 0120-915-745
(受付:平日9:00~17:30)
※新横浜駅徒歩3分 ※オンライン面談OK ※外出が難しい方などご指定の場所でのご相談も可能


