贈与税の無申告、依然として多発

税務調査の中でも、贈与税は無申告の事案が多いといわれています。 納税者から申告があった「有申告」の事案と、申告がなかった「無申告」の事案とでは、 実地調査の状況にどのような違いがあるのでしょうか。
令和5事務年度、2,847件の実地調査を実施
国税庁が公表した最新の資料によると、令和5事務年度(令和5年7月~令和6年6月)において、 贈与税に関する実地調査は2,847件行われました。
そのうち、申告漏れなどの非違が見つかったものは2,630件で、実地調査全体の92.4%にあたります。
非違の8割超が「無申告」事案
非違が確認された2,630件のうち、84.2%にあたる2,215件が無申告事案でした。
このことからも、無申告事案に対する調査が重点的に行われていることがうかがえます。
贈与税の無申告が明らかになった場合には、延滞税や加算税が課されます。
加算税の税率は状況によって異なりますが、事実の仮装や隠蔽が行われたと判断された場合には 「重加算税」として40%(加重措置を受けると最大50%)が課されることもあります。
追徴税額は108億円に増加
同庁の公表資料によると、追徴税額の合計は108億円に達しました。
実地調査件数は令和4事務年度に比べて97.9%とやや減少したものの、 申告漏れ課税価格は264億円(対前年度比123.1%)、 追徴税額は137.5%と大きく増加しています。
最も多い非違は「現金・預貯金」
現金の授受であっても安易な判断は禁物です。
財産別にみた非違件数(延件数)では、現金・預貯金などが最も多く全体の63.9%(1,824件)を占めています。
次いで有価証券が14.4%(412件)、土地が3.2%(91件)、家屋が1.4%(41件)などとなっています。
国税庁、無申告事案を中心に調査を強化
このように、無申告事案が多くを占めている現状を踏まえ、国税庁では積極的に資料情報を収集するとともに、 あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努める方針を示しています。
今後も無申告事案を中心に、贈与税の調査を的確に実施していくとしています。
贈与を受けた場合は適正な対応を
贈与を受けた際には、「現金のやり取りだから大丈夫」と安易に考えず、 適正な申告と納税を行うことが重要です。
後から無申告が判明した場合には、多額の追徴税や加算税が課されるおそれがあるため、 専門家への相談や早めの対応を心がける必要があります。
加算税
加算税には、修正申告や更正があった場合の「過少申告加算税」、申告しない場合や期限後に申告した場合にかかる「無申告加算税」、仮装・隠蔽がある場合の「重加算税」等があります。
過少申告加算税は追加税額の5~15%、無申告加算税は5~30%、重加算税ともなると35%か40%で、加重措置を受けると最高50%にもなります。
このほかに期限内に申告納付しないと、未納付の税に対する利息的な意味合いのある延滞税が課されます。
この記事は2025年11月に書かれたものです。
内容が最新の情報と異なる可能性がありますのでご注意下さい。

相続税・贈与税・遺言・遺産整理・不動産など、相続に関することは横浜相続なんでも相談所にお気軽にお問い合わせください。
相談無料 ☎ 0120-915-745
(受付:平日9:00~17:30)
※新横浜駅徒歩3分 ※オンライン面談OK ※外出が難しい方などご指定の場所でのご相談も可能

